自然農法センターでは、主にAPNAN(アジア太平洋自然農業ネットワーク)を通じて、アジア・太平洋各国の普及団体と協力し、自然農法と有用微生物群(EM)技術の普及を行っています。
APNAN(アプナン)は、1989年にアジア太平洋地域に有用微生物(EM)技術活用の自然農法を普及することを目的としてタイで設立された団体で、東南アジア地域を中心に幅広い活動を行っています。
APNANでは、主に情報収集と発信、研修会の開催、海外からの視察受け入れなどの業務を行っています。情報発信では、APNANニュースとホームページを活用しています。APNANニュースは、APNANの活動と世界の自然農法およびEM技術に関するニュースを掲載していて、APNANのホームページ(現在調整中)でバックナンバーを読むことができます。
さらに、自然農法の情報発信と学術交流の促進を目的として、これまでに世界の主要な地域において7回の救世自然農法国際会議を開催するとともに、IFOAM(国際有機農業運動連盟)会議においても自然農法に関する発表を行っています。
現地の自然農法とEM技術の普及促進のため、①普及要員の育成②各国の普及状況・優良事例・応用技術等の情報収集発信③自然農法とEM技術に興味を持つ人の底辺拡大を主目的として、自然農法とEM技術に関する国際研修会をタイ国サラブリ県にある救世自然農法センターの協力を得て同センターにおいて開催しています。1994年に始まったこの国際研修会には、2018年までに延べ3500人近くが参加しました。
政府機関と協定書を締結したラオスやブータンへは、定期的に訪問し、技術支援を行ってきました。
2015年8月には、ミャンマーにおいて、複数の民間団体が参加した新たな国内NGOであるマルチ・アグリ開発協会との間に協定書を締結しました。
中国は、APNAN創設時のメンバーではなかったことから、APNAN加盟国とは分けて普及活動を行ってきました。この国における普及活動の進展には、当財団の客員研究員や短期研修生の制度が大きな支えになっています。
1991年から2018年まで、松本の農業試験場で研究に携わった中国の客員研究員は32名、研修生は109名です。その中には、農業科学院の院長や農業局の副局長、行政府の副市長、研究所の所長や副所長、大学教授などの立場に立つ人が多数いて、それぞれの立場で自然農法の普及に尽力しています。
現在、中国には自然農法普及協会があり、各地で自然農法の普及が進められています。2018年の8月には、黒龍江省農業科学院において、自然農法の国際フォーラムを自然農法センターと同科学院との共催の形で開催しています。