主に、高品質な自然農法米を安定して生産できるよう、水田雑草抑制のための土壌管理技術の開発および土壌動物・微生物の活性を高める有機物の利用方法に関わる研究に取り組んでいます。得られた研究成果を基に、自然農法の普及拡大を推進する栽培技術体系化を進めます。またその知見を応用し、畑作物における雑草抑制技術の研究にも着手しはじめています。
自然農法条件下で作物と土壌の作用によって発揮される耐病性、高品質・多収性について、光合成と栄養代謝から酵素活性まで植物生理学、植物病理学、植物栄養学と土壌微生物学の広い範囲で詳しい実験を行っています。また、土壌診断を通じ、自然農法において作物生産の基盤となる「健康な土壌」の姿を明らかにするため、有機物の施用法や耕起方法が土壌や作物に与える影響等の解析を行っています。
作付体系の組合せや緑肥作物の導入、作物残渣や有機物の活用方法の改善による野菜の安定生産技術の確立を目指しています。安定した圃場では、作物に有利な土壌の養分供給力や圃場生態系と作物自身の病虫害に対する抑制力が高く、その誘導について研究しています。また、物質循環や密度調節などに関わるこれらの生物間や環境との関連の研究を通じて、作物の生産性向上に土壌生物のもつ機能を利活用することを目指しています。
自然農法や有機栽培に適する品種には、ほ場生態系を有効に利活用できる高い環境適応性と少肥栽培でも旺盛に生育する根張りの良さが求められると考えています。在来種・固定種・交配種などを国内外から収集し、それらを素材にして自然農法・有機農業に適した品種育成に関する研究をしています。
自然農法による採種を行い、専業農家や家庭菜園実施者に対して種子の頒布を行っています。また自然農法による採種農家の育成にも取り組んでいます。