公益財団法人 自然農法国際研究開発センター 公益財団法人 自然農法国際研究開発センター

小さなポットエリアから分かったこと2017.12.23

今年も残すところあと数日です。寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、6月にアップしたコマツナのポット試験を秋にも実施しました。

秋も6月の時と同様にC3区が大きく育ちました(右から順にC1区、C2区、C3区)。

写真1

理由は同様に可給態窒素が高いことです。

でもそれだけではなさそうです。

土壌表面を観るとC1区とC2区は亀裂がくっきりありますが、C3区はあまりみられません。

写真2

写真3

写真4

さらに、土表面をスコップで取って2mm目の篩いにかけたところ、C1区とC2区は土塊のまま崩れませんでしたが、C3区はすぐ綺麗に崩れ落ちました。

C1 C1区

C2 C2区

C3 C3区

C1区とC2区の土塊が大きいまま崩れなかったのは、ポットに散水したときに表土が砕けてできた細かい粒子によって土のすき間が詰まり、そのまま乾いて固まって土膜になったたためです(土壌クラストと呼びます)。土膜ができると、表土が乾いたときに土が収縮して亀裂も生じます。

しかしC3区の表土は散水しても土の粒が一定の大きさでのこり、粒の中で一定の水分を保たれたことで亀裂も生じなかったのです。これは耐水性団粒と呼ばれ、土の水分と通気性を保持します。

つまり、C3区は栄養分以外に、土表面の物理性が他のポットの土よりも良かったことがコマツナの生育に好影響だったと思われました。

ただし、C3区は敷草+不耕起を継続しているので、土にはダンゴムシが多く、コマツナの発芽前後に食害され、発芽率は50%程度でした。

このポット1つの地表面積は0.02㎡ですが、小さいエリアのコマツナ栽培から色々な観察ができました。(H.Y.)

 

今年1年、ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

よいお年をお迎えください。

圃場だより