公益財団法人 自然農法国際研究開発センター 公益財団法人 自然農法国際研究開発センター

レンゲすき込み田んぼのその後2017.6.23

以前紹介した、レンゲを裏作緑肥として導入しているM圃場ですが、先日田植えをしました。

写真 1

この圃場では、レンゲと同じマメ科緑肥作物で水田裏作によく導入されるヘアリーベッチも裏作し、レンゲと同様に一部で立毛間播種を試み、生育は従来の稲刈り後に土壌混和する播種方法よりも旺盛でした。

その後、裏作したレンゲとヘアリーベッチのすき込み時期を2通りで行いました。
1つ目は入水と代掻きの40日前にすき込みました。これは両緑肥が入水・代かき後に土壌が還元状態になった中で分解される際に発生する有機酸やメタンガス(図1 水田からのメタン発生のしくみ)による稲作への障害を回避するためにです。

2つ目はあえて入水・代かきの2日前にすき込みました(向かって左端がレンゲ、右端がヘアリーベッチの2日前すき込み区)。

写真 2

当然イネへの害は懸念されますが、一方で有機物分解で発生する有機酸やガスは水田雑草の抑制効果が期待できます。
緑肥をすき込む時や代かきするときの爪の深さは、地表面から5cm深までの浅耕起とし、田植えをするときは苗をやや深めに植えることで、地表
面に集留された有機酸やガスへ水稲根の接触が緩和されると考えて試みました。

写真 3

写真 4

さて、代かきした直後の土壌を採取し、ガス沸き量と酸化還元電位を測定しました。この時、土の色を観るとレンゲとヘアリーベッチをイネ立毛間播種し、入水の直前まですき込まなかった処理(右端の瓶と右から2つめの瓶)の土は青灰色でした。これは土が還元状態になった時の色です。逆に入水の40日前にすき込んだ処理(左端よりの瓶)は赤色っぽいですがこれは酸化傾向を表します。

写真 5

実際、代かきから3日後の酸化還元電位は前者2つの瓶が低く、ガス発生量も多かったです。
今後、イネの生育と雑草の抑制にどう影響するかが見所です。(H.Y.)

圃場だより