公益財団法人 自然農法国際研究開発センター 公益財団法人 自然農法国際研究開発センター

草を抑えたE圃場(考察)2018.8.24

台風が通り過ぎて水田の倒伏が心配でしたが、特に倒れることもなく、早期栽培圃場(E圃場)はもうじき収穫になります。

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早期栽培圃場はコシヒカリを5月中旬に植え、出穂が7月下旬、収穫予定が9月初旬となる作期です。前回の圃場便りにお伝えした様に当圃場では、除草機を2回(予備1回)かけてほとんど草がなく、拾い取りも今年はしないで草の少ない圃場になりました。

当農場は愛知県なので暖地に近い気候帯で、田植えも4月から7月上旬まで植えることができます。作期によって品種を分けていますが、草の生え方やイネの育ち方など作期により異なります。当圃場含めてここ数年で、耕耘や代かき方法を作期によって工夫することで、雑草を抑制し、イネの生育を促進することがあるように感じています。春までの作業を特に耕耘に注目して考えてみます。

まず、秋の耕耘についてです。秋耕は土壌水分が適性時に行えば、土中の稲わらの分解をうまく進めます。早期栽培は9月収穫なので10月までには水分条件を見計らって耕耘できる確率が高いです。昨年は9月14日に秋耕しています(下写真)。

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さらに、10月までに耕耘できれば暖地なので、秋冬に雑草が生えます。ここではスズメノテッポウが多いですが、あえて春まで耕耘しないことで、この秋冬雑草を生やしています。秋冬雑草を生やすことは緑肥的効果が期待できます。さらに当圃場は粘土質土壌なので、表面はカチカチに乾き、中は濡れている土壌です。このような土壌においては、雑草など植生の根は土壌の水分調整役にもなり、根が張っている層は、過乾、過湿にならず、稲わらの分解に適した水分を保ってくれます。

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加えて、秋冬雑草が生えていて、土壌の水分が均一になると、生物の越冬にも良いと感じています。今年は田植え後の観察上、明らかに豊年エビと浮き草が多くなりました。

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田植え後にボカシを田面施用しており、それも土壌表面の生物活動を高めていると思われます。田面の生物活性が高いとトロ層が形成されやすく、雑草の種子が発芽しにくくなると思われます。

秋冬雑草のすき込みは田植えの40日前頃の4月初めにしています。田植えに向けて予め草の分解や土になじむ期間を設けてガス沸きがおきにくくしています。雑草を抑えることと同時にイネの根が活着良く、良好に育つこと両面から耕耘を考えていきました。

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もうすぐ収穫ですが、台風もあって今は溝を切り、収穫作業をし易くしようと努めています。しっかり水がはけてコンバインを入れることで土壌を踏み荒らさず、秋耕のし易さにも繋がっていきます。すでに来年の田んぼは始まっています。

(D.A.)

圃場だより