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スイカ栽培のポイント

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栽培に適した土壌条件

夢枕の育種圃場は準高冷地の火山灰土壌(黒ボク土)で、草生栽培を取り入れ無マルチ・無整枝栽培条件下において、旺盛に生育し坦果力のある系統を選抜しました。そのため火山灰土壌のような軽い土で土層が深く、排水良好な土壌で特性を発揮しますが、粘土質の重い土や排水不良な畑、水田地帯では、草勢が旺盛になりすぎてツルぼけになり、着果不良や肉のしまりすぎ、糖度不足や裂果を起こします。また低温期のハウス栽培も不適で、日照条件の良い露地栽培において、昼夜の温度格差のある地域で高品質の果実が収穫できます。栽培に当たってはこれらに留意し、排水を良好にし、元肥を抑え腐植を増やして、根群を発達させ充実した生育をさせて、無整枝で自然に着果させることが大事です。うりこ姫は、夢枕を雌系統として用いた交配種で、夢枕よりも若干早生で、さらに着果性の良い品種です。草勢のつきやすい条件の畑でもバランス良く育つ特性を持っていますが、基本的には夢枕と同じような土壌条件が適地です。
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畑の準備

堆肥や緑肥などの有機物は、腐植化をすすめるためなるべく前年の秋に全面に鋤込みます。春の鋤込みは完熟堆肥を用い、作付け1ヶ月前までに行います。未熟堆肥は鋤込まず表層に敷きます。畦幅2.5~3mとり、畦肩の両側に風よけや害虫飛来防止に緑肥用エン麦・アカクローバを播きます。株間は60~80cm、播種する位置に直径45cm、深さ30cm位の穴を掘りEM生ゴミ土や混土堆肥などを入れてくらつきをつくります。くらつきの盛土は地面より6~9cmにし、培養土があればこの上にさらに三握りくらい施して土と混ぜておきます。
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幼苗期

播種

冷涼地の直まき栽培は盛夏期が適温になるので、なるべく早めに播き、梅雨の終わる頃に開花させ、盛夏に果実を肥大させるとつくりやすく、品質のよいものが収穫できます。温暖地では梅雨明け後の過度の高温は、スイカの生育を弱らせ、品質も低下するので、遅くとも7月下旬までには果実肥大期に入っているようにし、8月中旬には収穫を終えるように栽培します。早播きする場合、遅霜のおそれがある地域では保温キャップやトンネルで被覆します。タネ播きは、くらつきの盛土の頂上をわずかに東南に傾斜させて作り、軽く叩いて平らにし、その中央及び小指を開いたくらいの範囲に適当な間隔をおいて3~5粒播きます。種子を平に指頭で軽くおさえて種子がかくれる程度に薄く土を覆い、その上に清潔な川砂を直径45~50cm、厚さ1.5cmくらいに覆い、十分灌水して保温キャップで被覆し、保温につとめます。播種後の覆砂は土壌の乾燥を防ぎ、適湿を保ち、地温、気温を高めるので、発芽を良好にし、幼苗期の生育を促進するなどの効果があります。

仕立て方

少肥栽培では根の生育が優先するため、地上部が過繁茂になることはないので整枝の必要はありません。但し、ツルが重なって混み合わないように親ヅル・子ヅルを同じ方向にツル間隔が20cmくらいに揃えて伸ばします。ツルが50~80cmくらいになった頃に、自由に各方向に向かっているツルを伸ばしたい方向に向け配置します。ツルが100~120cm位に伸び、着果させる雌花の芯が見えてきた頃、草勢が強すぎるようならツルの引き戻しを行い、ツルの生育を一時おさえ、着果をよくします。肥沃な土では、親ヅルを本葉6枚で摘心し、子ヅル4~5本を主枝として伸ばします。草勢が強い場合は、着果周辺の孫ヅルを早めに摘除します。着果後は放任にします。
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伸長期

着果までの管理

スイカの根は子葉展開後に第二次根、本葉2枚展開後に第三次根が分岐して、根数の増加が早いです。発芽後60日くらい(第一花着果前)には根の分岐、伸長が旺盛になり、90日くらいして着果最盛期で根群が完成し、収穫まで除々に生長します。発芽から着果までは栄養生長が旺盛でツル伸びがよいですが、肥大期から生育転換期となり生殖生長が盛んになって側枝が止まるので、着果後の負担に耐えるだけの根と茎葉を初期に発達させることが大切です。スイカの茎は子葉から4節までは節間がつまって直立しますが、本葉5枚目が出ると心が横を向き、地這い性になり、節間も長くなります。鞍つきは発芽からツルが伸び出す伸長期までの養分となり、根や茎葉を育て自立するための基礎体力づくりを支援します。生育初期はしおれないかぎり灌水は控え、根を深く張らせます。また株のまわりに敷き草(地温が上がりツルが50cm位伸びた頃)をして土壌水分を適湿に保ち、土つくりの協力者である土壌動物の生活の場をつくり、根が伸長しやすい環境をつくります。

茎葉繁茂期・成熟期

着果期

雌花の着生は、親ヅルの6~8節に第一雌花をつけ、以後7~8節ごとに着生します。生育のバランスがよいと15~20節に着果します。低節位の着果は品質を悪くするので摘果します。ツルの伸長が不均一になると早く肥大した果実が遅く着果した果実の肥大を抑えるので、ツルの生育を揃える事が大切です。放任仕立てで主枝3本に1~2果、主枝4本仕立てで3~4果を目標とします。

雌花開花日のマーキング  
収穫の目安は、開花後33日くらいになるので、着果後果実が鶏卵大(開花後5~6日目)頃に果実にラベルをするか、目印の着果棒を立てておくと、これから26~28日後が収穫日となります。

スイカの収穫時期の判別  
スイカの果実の外観から収穫適期を判定する方法は、草勢の強弱、日照条件などによって異なるので、熟練を要します。そこで上記のように着果日が判るマークをつけておき、収穫期に開花日の異なる果実をいくつか試し切りし、収穫日を決めるのが確実です。下記は収穫期の目安です。

果皮色の変化
夢枕は肥大するに従って果面に粉が付着し、果皮色がぼけてくるが、成熟してくると果粉が少なくなり、黄緑の果皮色クリーム色の縦線が鮮明(写真)になります。

接地部の色と手ざわり
果実の地面についている部分の果皮色の黄色みが鮮明になり、手ざわりがザラつくようになります。

果梗の色と毛茸
果梗の付け根の毛茸が消えて、果梗の緑色が少し抜けて灰緑になります。

着果節の巻きひげの枯れ具合
着果節の巻きひげが三分の一くらい枯れてきます。

果実の弾力
花落ち部周辺を押して、弾力があり、メリメリといった果皮が裂ける音がします。

採種とタネ洗い・乾燥

夢枕は固定種なので、他のスイカと花粉が混じらなければ、自家採種しても変化が少ないです。スイカは1果実から200粒程度の種子が得られるので、自家用なら交配果は1果あれば十分です。タネの取り出しは、普通に食べながら行い、取り出したタネはすぐに水洗いし、3日程度天日で干し、十分に乾燥させます。スイカは長寿種子で、温度変化の少ない条件で乾燥状態を維持すれば4~5年は保存できます。
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