自然農法では生産力の高い土と活力ある種子が要です。
知多草木農場では先週、今年初の稲刈りをしました。
品種はコシヒカリですが、おかげさまで病虫害や倒伏なく稔りを迎えることができました。
そこで来年に向けて、収穫と同時に種籾も確保しました。
小面積分の種籾であれば、鎌で刈って後に脱穀すればよいですが、大量の種籾を確保する場合はコンバインを使用します。
コンバインで採種する際、種籾を損傷させない留意点があるので以下の手順で実施しました。
1.採種する日は晴天日とし、イネが濡れていないことを確認します。
2.籾は穂首までほほぼ黄熟しているかを確認します(水分計がある場合は籾水分が25%以下であるか確認します)。もし青みが残っている場合は採種するイネだけ刈り取りを後日にします。
3.採種する面積を計算します。この圃場の予測収量は玄米で1㎡あたり420g(420kg/10a)とみていたので、それを基に以下の計算で割り出しました。
①420g(1㎡あたり玄米収量)÷80%(籾全部の重さに対する玄米のみの重さの割合)=525g(1㎡あたりの籾収量)
②3,000g(水稲栽培10a実施するのに確保する種籾の量)÷525g=5.7㎡(10a分の種籾を採種するのに必要な面積)
4.圃場の真ん中あたりから採種します。あらかじめ採種エリアの四隅に目印棒を立てておきます。イネは自家受粉する性質なので他品種との自然交雑は起きにくいですが、念のため圃場外周のイネからは種籾をとりません。
5.コンバインで通常通りに周りから稲刈りし、採種する中央部を残します。
6.最後の真ん中を刈る前にコンバインタンク内の籾は、一旦すべて排出します(コンバインの通常のアクセル回転数で刈った籾はキズが付いているので種籾には使用しません)。
7.コンバインの扱胴回転数を400rpm(エンジン回転数2,200n/min)まで下げて残しておいた中央部(種籾)を刈ります。
8.刈った種籾は一旦バケツなどで受け、種籾袋に入れてハウス内で籾水分が15%以下になるまで乾かします。
※種籾袋いっぱいに詰めると通気が悪くなるので、袋容量の半分以下程度にします。
9.乾いたら今年への感謝と来年の豊作を祈り、来春まで倉庫などの冷暗所で保管します。
採種方法の参考ページ「温湯消毒に対応した高品質な水稲種子生産の留意点(三重県)」
(H.Y.)