2005年に発表した当財団が育成したナス交配種「紫御前」は、草勢の強さを持つ品種であるが、盛夏期に果皮色の退色が発生する傾向がありました。果皮色の退色の要因には、「紫御前」の母系である「中生中長」系統の果皮色が薄いことが原因として考えられ、退色しない組み合わせにするためには、非退色性に加えてさらに果皮色が濃い系統を交配親に用いる必要があるものと考えられます。そこで、「紫御前」よりも高温期の果皮色の退色が少なく、強勢で着果性に優れた露地栽培向き品種の育成を目標に2008年より育種を開始し、2016年にほぼ目標にかなった一代雑種品種「黒小町」を育成しました。
種子親には「早生真黒」を素材として2013年に選抜固定した。種子親は草姿が開帳性で強勢。側枝が多く葉は淡緑葉で葉枯れが少ない。花数が多く果形は短卵形で果揃いは良いが、果色が濃紫色の系統である。花粉親には「筑陽」(タキイ種苗)を素材として2013年に選抜固定した。花粉親は草姿が立性で草勢は中程度。分枝は中程度で花数はやや少なく、やや晩生。果形は首太の長形で首細果、尻太果、先とがり果が出にくく果揃いが良い。果皮色は黒紫色で退色果がなくツヤがあり、肉質はやや緻密な系統である。