9月4日(月)~7日(木)、東北大学にて、「第4回 有機米生産システム国際シンポジウム(4th International conference Organic Rice Farming and Production Systems)」が開催されます。
有機米に関わる世界の研究者、生産者、加工流通業界などの関係者の交流促進と下記のような目的のシンポジウムです。
①今日の有機米生産システムに関する実践知を収集
➁イノベーションの発掘や阻害要因の特定
③品質や健康、環境への影響の評価
④有機米生産に関する国際的なイノベーションネットワークの構築
⑤有機農業のスケール転換への貢献
当センターからもフェローの岩石真嗣が「セッション5【有機農業のスケール転換に向かって】」の中で、『有機稲作の普及拡大における課題と挑戦』と題して講演いたします。
対面およびオンラインで開催され、参加費は無料(一部除く)となっています。
有機米の生産・消費に多方面から関わる皆様のご参加をよろしくお願いいたします。
詳細・お申し込みは公式Webサイト(https://www.agri.tohoku.ac.jp/orp2023/)をご覧下さい。
名称 | 第4回 有機米生産システム国際シンポジウム 4th International conference Organic Rice Farming and Production Systems |
日時 | 2023年9月4日(月)~9月7日(木) |
場所 | 東北大学大学院農学研究科(青葉山コモンズ) |
開催方法 | 対面・オンライン |
言語 | 日本語/英語(同時通訳あり) |
参加費 | 無料(現地検討会・昼食代等は別途) |
スケジュール | 9/4(月) 13:00-13:20 オープニング 13:20-14-50 セッション1「各国の有機米生産の動向」 15:10-17:10 セッション2-1「有機稲作の栽培技術」 9/5(火) 9/6(水) 9/7(木) |
主催 | 東北大学農学研究科/複合生態フィールド教育研究センター |
共催 | 日本有機農業学会 |
後援 | 農林水産省、宮城県、仙台市、農研機構、国際土壌科学連合、環境保全米ネットワーク、みやぎ生協、みやぎ環境とくらしネットワーク |
協賛 | あいコープみやぎ |
【セッション1 世界の有機米の現在-制度、政策、市場】
有機農産物の生産は世界中で拡大していますが、各国政府の設定目標の違い、地域ごとのマーケットの大きさの違いがあり、必ずしも同じペースで拡大しているわけではありません。有機米の生産は、近年欧米やアジア諸国で伸びていますが、生産や消費の拡大の背景は各国ごとに異なると考えられ、それが何なのか、またさらなる有機米の生産・消費振興には何が課題となっているか、有機米をめぐる国際情勢、各国政府や地方自治体の政策や制度について、幅広い報告を求めます。世界の有機米生産・消費に関わる社会、経済的なテーマを期待し、今後のさらなる生産・消費振興のために意見交換をします。
【セッション2 有機稲作の栽培技術】
有機稲作の栽培技術は、近年目覚ましく発展しているのと同時に、有機稲作の有効性を示す科学的根拠も揃いつつあります。本セッションでは、有機稲作の栽培技術について、収量の安定性、投入資源の削減と環境保全、労働力低減、生産力拡大や気候変動の緩和と適応などの観点から、農生態系のもつ自然の生産力の向上技術や伝統的技術、さらにはスマート農業技術などの展開について、世界の稲作生産地からの研究成果や農家の方の取り組みついてご講演いただきます。これらを通じて、有機稲作の展開の最新の技術と課題について意見交換します。
【セッション3 実践と参加型研究】
オーガニック・フードチェーンに関する様々なイニシアチブ、イノベーション、コラボレーション、プロジェクトは、世界各地で様々な範囲や規模で実施されています。本セッションでは、農家、加工・製造業者、小売業者、消費者、科学者、官民団体が連携する有機米フードチェーンに関するギャップや課題、ベストプラクティス、先進的な取り組みや新事業アプローチ、ビジネス機会について共有・考察することを歓迎する。さらに、このセッションはネットワーキングの場を提供し、オーガニック・フードチェーンの今と未来に向けたギャップを埋め、成長のきっかけを見つけるため、農家と消費者(市民)とその他のステークホルダー間の更なる繋がりを促します。
【セッション4 アグロエコシステム・生物多様性・ランドスケープ】
有機稲作の取組は農村地域において,希少生物種の保全と再生につながる可能性があり,地域の生物多様性への貢献が期待されています。また,健全な食物連鎖の維持を通じた病害虫の抑制についても注目されています。日本における伝統的な稲作は,周辺の草地や林地から有機物資源を得るなど,里山とのつながりも強い営みでした。有機稲作はこれら里山からの恵み(生態系サービス)も活かした地域の資源利用や附随した農村文化の再生,それらを含めた伝統的な里山の景観形成にもつながるものです。さらには地域単位で資源循環的かつ低投入な有機稲作の取組は,温暖化ガスの排出量を減少させ,気候変動の緩和への貢献も期待されています。本セッションでは,有機稲作が貢献しうる健全な農村生態系の形成や,脅威となる近年の侵略的外来生物についての最新の知見を世界各地からご報告いただき,有機稲作が有する地域レベルの生態系保全の機能と効果について理解を深めていきます。ここでは、農家や市民の参加型研究についても発表を歓迎します。
【セッション5 有機農業のスケール転換に向かって】
みどりの食料システム戦略は2050年に耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%、100万haに拡大することを目指すとした。環境保全や健康に配慮した農業生産への転換が求められるなか、近い将来、有機農業が主要な農業生産システムになりうるという展望は各国の研究者や関係者の間で大きな議論の的となっている。とりわけ、有機農業が世界の人口を養うことができるかについては、賛否両論の議論が沸き起こっている。このような将来展望が望ましいかどうかは、1)技術や経済性、社会性の面で実現可能か、またそれがどのような条件で可能か。2)実現可能な時、その影響はより持続的な農業と共存できるか、に関わってこよう。
パンデミックや戦争などの国際的な危機がこれまでの有機農業の拡大条件を変えることがあったとしても、フードシステム全体において有機農業のスケール転換が引き起こす課題や影響について研究し、科学的な視点からありうる将来を先取りすることは重要である。