公益財団法人 自然農法国際研究開発センター 公益財団法人 自然農法国際研究開発センター

シンプルだけど奥が深い「ひだまり育苗」

ホームセンターで苗を購入して菜園を楽しんでいる方が多いと思います。

「どうやって苗を育てていいか分からない。」「ハウスや資材もないのでそんなにお金や手間もかけられない。」と思っていませんか?

そんな方に南向きのベランダや軒下の暖かい場所で行う「ひだまり育苗」は、いかがでしょうか。

温床やビニルハウスを使わずに自宅の小さなスペースでトマトといった果菜類の苗を育てることができます。

生育はゆっくりですが、がっちりした根張りのよい苗に育ちます。

 

日だまり育苗のやり方

良質な苗に育てるには、温度が上がりやすいセルトレーにタネを播き、本葉1.5 ~2枚で直径10.5 ㎝ポットに移植する2段階育苗を行います。

「日だまり育苗」の特徴は温床で加温しないため、生長がゆっくりです。発芽するまでに10~14日ほどかかります。発芽までに水をやりすぎると発芽しないため、水のやりすぎには注意してください。

 

1.タネまきについて

晴天の日を選び、畑の土と完熟堆肥をよく混ぜた土、あるいは市販の有機培土にタネまきや鉢上げを行います。

 
あらかじめ土を湿らせておきます。タネを播いたら、ひだまりに置いて十分光に当てます。

 

2.朝と昼の温度管理

気温が上昇する午前9時頃から午後3時頃までひだまりに苗を置き、気温が下がってきたら屋内に苗を移動します(ただし、翌朝の最低気温が10℃以上あれば屋外でも問題ありません)。

 
温度計で温度チェック

 

3.朝と昼の水の管理

水やりは午前中に行い、冷たい水ではなく、できれば汲み置きした水かぬるま湯(30℃程度)を水差しで丁寧にします。
夕方、土の表面がうっすらと乾く程度を目安として下さい。

 

4.夜の管理

夜間は室内温度15 ~ 18℃、深夜でも10 ~ 15℃を保てる場所に置きます。

 

5.曇り、雨の日の管理

曇雨天日で気温が10℃以下の日は、窓際において育苗します。また、苗がしおれていないかぎり、水やりは控えます。

 

6.鉢上げ時の注意

鉢上げ時は深植えにならないよう、注意して下さい。

 

 

7.定植間近の管理

苗が混み合ってきたら葉が触れない程度にポットを広げて光を十分に当てるようにします。定植1週間前から夜間でも外で管理します。

 

 

「日だまり育苗」のポイント

  1. 陽だまりが移動するのに合わせて苗を動かし、日に当てる時間をなるべく多くします。
  2. 人が安眠できる室温(13℃前後)が、苗の夜温の生育適温です。
  3. 曇天・雨天の日の夜間は、低め(10℃位)に保ちます。
  4. 水のやりすぎに注意しましょう。朝かん水して夕方鉢土の表面が乾く程度が適量です。
  5. 苗の葉色が薄い黄色や暗緑色になるときは、温度不足や水分不足の危険信号。葉色が回復するまでは、鉢土の湿りを保ち、夜間は暖かい部屋に置きましょう。
  6. 苗が大きくなってきたら、徒長を防ぐため、鉢と鉢の間を広げて光が苗全体に当たるようにしましょう。

 

今回、ご紹介した「日だまり育苗」をもっと知りたい方は「これならできる! 自家採種コツのコツ ~失敗しないポイントと手順~」【農文協・2016年6月発刊】で紹介しています。

      是非、ご覧ください。

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